2011年02月15日

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「カウチサーフィン」でウチに泊めて! 宿泊費無料の海外旅行が人気(ネタりか)

(記事より)
ヨーロッパや北米など、世界の旅行者が利用する人気のインターネット・ネットワーク「カウチサーフィン」(CouchSurfing)。簡単に言えば海外旅行者がサイト内のメンバープロフィールを見て「あなたのウチに泊めてください」と事前にお願いするというもの。ツアーを利用しない外国人旅行者や低予算で旅行がしたい若者にウケて、急速にメンバー数を増やしている人気サイトだ。


実はこのサービス、『シェア』の中で紹介されている。そしてカウチサーフィンの『シェア』的特徴が上記の記事の以下の部分だ。

(記事より)
2. カウチサーフィンは互いに思いやりと信頼で成り立っていることを理解して、ホストに無理は言わないこと。ホスト側もできないことは、気を使わずはっきり言う必要がある

<略>

5. 相手の素性を知らないという危険性もはらんでいるため、泊めてもらう時や会う時はレファレンスをチェックしたり、当人の名前や写真なども確認する必要がある。レファレンスが付いていない人や情報が少ない人は避けたほうがいい(レファレンスとは、一度泊まったり会ったりした人が、互いの印象を正直に評価してその人の自己紹介欄にアップすることができる機能。当然、悪い評価の人もいる)


互いの思いやりと信頼をベースにして、自己の証明と他者からの評価を可視化するシステムがサービスの要諦である。IT技術がそれを可能にしたことは今まで紹介した通り。


参考:
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2011年01月15日

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『シェア』の補足・その2

『シェア』の第1章は太平洋沖に漂う膨大なゴミの描写から始まる。この現代物質文明の象徴から、アメリカ人が如何にモノに囲まれているかを描きだすことがこの章の狙いだ。現代物質文明の申し子たるアメリカ人は世界の個人消費を引き受けるほどにモノを買い、所有し、捨ててきた。

しかしさしものアメリカ人も「自分が所有したモノに自分の家が占有される」状況には疑問を抱くようになったようだ。モノを所有しても満足感は得られず、逆にモノの所有を維持するための負担と苦労が増すばかり。処分するにもコストがかかるとなれば捨てるに捨てられない。

不用品を簡単に捨てられないなら、誰かに引き取ってもらうのがありがたい。自分は不用品を処分できるし、引き取る側は欲しかったモノが手に入って、お互い得な話だろう―――『シェア』で紹介されているビジネスの切っ掛けは、案外こんな打算的な動機である。

ところが面白いことに、こんな打算的動機で始まったビジネスが、環境問題解決に一役貢献していくことになる。ゴミ減量に役立つことは勿論のこと、不用品取引がなかったら引き取る側が買ったはずの新品を作るための環境負荷も下げられる側面もあるのだ。

ビジネスの創業者も「環境にいいと思って始めたわけじゃない。ビジネスとして成り立ちそうだから始めたんだけど、それが結果的に環境に役立ってたというわけ」と述べる。環境原理主義者がお題目を掲げて説教するよりよほど効果的な方法だ(本書でも描写されている)。

尤も本書でも指摘しているように、こういうビジネスを成立するには一定以上のモノの供給量(クリティカル・マス)が必要となる。となると、モノにあふれるアメリカや先進国には成立しても、供給過少な途上国では容易に成立しえないように感じた。

とはいえ、今後成長が見込まれる新興国が、先進国が辿ったように資源を爆食しないようにする、一つの指針になるかもしれない。


消費者が消費することで潤ってきた製造業には辛い話ではあるがな(苦笑)


参考:
太平洋ゴミベルト(Wikipedia)

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2011年01月11日

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前回紹介した『シェア』の補足。

この本で紹介される不用品取引ビジネスについて、「不用品の取引なら古物商やリサイクルショップもあるはず。それと何が違うのか?」という疑問を抱くかもしれない。実際自分も読んでいてそう思ったが、決定的な違いがある。


自分の不用品を処分したい人とその不用品が欲しい人を

直接マッチングさせるのがこのビジネスの要諦なのだ



従来のリサイクルショップは不用品を一旦買い上げ、その不用品を買いたい人が現れるのが待つことになる。買いたい人が現れるまで不用品はショップの在庫になるし、その不用品の品質はショップが保証しなければならないのが普通だ。

一方『シェア』で紹介しているビジネスでは不用品を売りたい人と買いたい人を直接マッチングさせるので、ビジネス運営者は在庫を持たずにすむ。また不用品の品質保証は出品者に帰せられるので、ビジネス運営者は品質保証リスクからも解放される。

運営者が中央集権的に管理するのではなく、参加者同士の自律的な管理に任せるのがこれらのビジネスの特徴である。そして参加者同士の自律的な管理が容易になるようなプラットフォームを用意し、緊急事態に適切に対処することが運営者に求められる。


リサイクルショップというよりは不動産仲介業に近いかな


参考:
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2011年01月09日

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(レイチェル・ボッツマン、ルー・ロジャース/NHK出版)


先日の小飼弾氏の書評を読んで購入。読んでみると帯や小飼氏の指摘する「<所有する>から<利用する>へ」は重要な動機にして結果ではあるが、本書の一側面に過ぎないことがわかる。

自分にとってはもはや不要だが、捨ててしまうには惜しい所有物を、家族、友人、職場の同僚など、顔見知りに引き取ってもらう経験は誰にもあると思う。このような取引を赤の他人同士でも成立させよう、というのがこの本で紹介されているビジネスの共通点である。

こういった取引が安心して行えるには「顔見知り同士なら相手を騙すことはしないだろう」といった信頼関係が不可欠になるわけだが、全く会ったことのない相手でも顔見知りと同じような信頼関係を結ぶことできるかが、この成功のポイントとなる。

狭い交友範囲なら結べた信頼関係も、全国規模となると不可能というのが常識だった。しかしIT技術を使えば赤の他人同士でバーチャルな共同体を作ることが可能になる。そしてその共同体のメンバー同士でモノやサービスを交換する、というわけである。

赤の他人だと相手を騙すことがあるのでは?という懸念も、現実世界で仲間内での自分の評判を落とさないように行動を慎むのと同様、IT技術でメンバーの評判を可視化することで赤の他人相手でも行動を慎むようになる、というのがコンセプトにある。

この本を読んでいて、日本の伝統的な相互扶助「結(ゆい)」や「無尽(むじん)」を想起した。IT技術によってamazonの書評のようにメンバーの評価が可視化され、低評価者がパージされるというのは、正に「村八分」と同じである。

個人主義的で契約・法律・保証金を以て取引の信頼関係を結んできた欧米において、日本の伝統的な共同体感覚と同様な信頼感をベースにしたビジネスが進展してきたという点が実に興味深い、一冊であった。


参考:
What's Mine is Yours - 書評 - シェア(404 Blog Not Found)
供給過剰の行きつく果て(当ブログ記事)
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2007年12月16日

売国奴

売国奴(黄 文雄/呉 善花/石 平/ビジネス社)

台湾出身の黄文雄氏、韓国出身の呉善花氏、中国出身の石平氏による対談集。親日的及び祖国に批判的な言動から、祖国から「売国奴」呼ばわりされた経験を持つ三人が、それぞれの祖国である中国や韓国・朝鮮を斬りまくる。

石平氏の著作を読んだことがないのでわからないが、黄文雄氏、呉善花氏の意見はそれぞれの過去の著作で述べられたものを踏襲しているので、東アジア出身の三大親日家(笑)の見方を知るには手っ取り早い一冊と言える。

日本を含めて東アジアは中国文化の影響を多少ならずとも受けているが、対談に出てくる三人の意見を見ると、やはり日本は他の東アジア諸国とは異質であると同時に、反日にして儒教的という点で共通する中国と韓国・朝鮮にも、実は相違点があることが読み取れる。

この点については別途エントリを設けて論考したい。
posted by かせっち at 21:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 書籍&雑誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月04日

「法令遵守」が日本を滅ぼす

「法令遵守」が日本を滅ぼす(郷原信郎)

昨今の高校野球の特待生問題を見るにつけ、郷原氏のこの著書を思い出した。何故ならこの一件は、郷原氏がこの著書で指摘する「『法令順守』がもたらす弊害」の格好の事例だからだ。恐らく郷原氏も「新しいネタができた」とほくそ笑んでいることだろう(笑)。

法令の背後には何らかの「社会的要請」があり、その「社会的要請」を実現するために法令は存在する。そのような法令を遵守することで、結果的に企業や個人は「社会的な要請」の応えることになる。しかし「社会的要請」は時と共に変化するものであり、ある時点で制定された法律とはズレを生む。

判例法のアメリカでは膨大に行われる訴訟の判例を通じて「社会的要請」が法令に反映されていくが、成文法の日本では一度作られた法令は中々改正されないため「社会的要請」とのズレは拡大していく。そして「社会的要請」とズレた法令を遵守しても、「社会的要請」に応えたことにはならない。

だから、その時々の「社会的要請」とのズレを埋めるべく法令を見直すべきなのだが、それをせずに「法令遵守」を徹底すれば、「社会的要請」を満たすために隠れて違法行為を行うか、「法令遵守」に汲々とする余り「社会的要請」に十分に応えられなくなる…これが著者の指摘する「『法令順守』がもたらす弊害」である。

そして著者は、このような事態が横行する日本を「法治国家」ではなく「法令国家」に過ぎないと喝破する。

* * *


野球以外のスポーツでは認められ、高校野球でも半ば黙認状態だった特待生制度に対し、日本高校野球連盟は今頃になって調査を開始した。そしてあくまで昭和21年に制定された学生野球憲章第13条の遵守を徹底させ、特待生制度のある高校、及び特待生本人にペナルティを課す方向に動いている。

しかし化石のような憲章が現在の「社会的要請」に合致しているとは思えない。彼らがすべきことは憲章遵守と厳罰化ではなく、現在における「社会的要請」を反映させた憲章を作ることだ。

参考:
【特待生問題】高野連こそ”活動停止”がふさわしい(加賀もんのブログ)

「化石」化する法律
posted by かせっち at 23:49| Comment(0) | TrackBack(2) | 書籍&雑誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年03月04日

「みんなの意見」は案外正しい

「みんなの意見」は案外正しい(ジェームズ・スロウィッキー)

この本の原題『The Wisdom of Crowds』(訳:「集団の知恵」)は、集団の狂気や愚考を記録した本『Extraoridinary Popular Delusions and The Madness of Crowds』に対するオマージュである、と著者は述べている。このように、「衆愚」という言葉に結び付けられることが多い「集団の意見」が、実は限られた人間の叡智よりも正しい結論を導くことが多い、というのがこの本の論点。

但し「集団の意見」が正しい結論を導くには色々と条件がある。多様な意見が存在すること。それらの意見が他とは独立していること。分散して表出された意見を集約するメカニズムがあること。これらの条件が揃った時、「集団の意見」は叡智となるが、揃わなければ衆愚に陥る。これらについてスペースシャトル墜落事故や911を予測し損なったアメリカの諜報機関の例を挙げて考察する。

「みんなの意見」が「絶対」でも「必ず」でもなく、「案外正しい」というところがこの本のミソかな、と。
posted by かせっち at 21:00| Comment(2) | TrackBack(1) | 書籍&雑誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年02月18日

美しき「死人」

「SAMON 柳生非情剣」(週刊コミックバンチ第12号)

隆慶一郎の短編『柳生非情剣 - 柳枝の剣』の漫画化。隆慶一郎は『影武者徳川家康』などを書いているが、『北斗の拳』の原哲夫が描いた戦国漫画『花の慶次』の原作者といった方が、最近の人には馴染み深いかもしれなない。

自分は原作を知らずに読んだのだが、男色家と噂される徳川家光と美形の剣士・柳生左門友矩の登場に、最初は「うわ、そっち系?」と思った(原作にはその部分もあるらしい)が、本作ではその部分を省き、剣に生きる者の覚悟を強烈に示してみせた。

特に、剣の道について問う家光に対し、晴れやかな笑顔で答える左門が印象的である。

参考:
「SAMON 柳生非情剣」 美しき死人の生きざま(時代伝奇夢中道 主水血笑録)
posted by かせっち at 22:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 書籍&雑誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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